閉じる

PET樹脂コラム

2022.01.05

そもそもPETとは

PETボトルの材料であるポリエチレンテレフタレート(英語:POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE)。その頭文字を取って「PET(ペット)」と呼ばれています。PETは1941年にイギリスで初めて作られて以来、合成繊維やPETボトルなどのあらゆる用途に用いられてきました。PETの構成は主に炭素、酸素、水素から成り、酸素が1/3を占めていることから、他のプラスチックに比べて石油依存度が低いとされています。また、炭素より重い酸素が多くを占めることから、密度が水より大きいため沈むという特性があります。一般的に、透明性・寸法安定性が高く、機械的強度に優れているとされている樹脂です。

PETの用途は多種多様

PETの用途は多種多様

PETのような合成樹脂(プラスチック)で代表される合成高分子材料は、優れた力学特性とともに、
軽量で成型しやすく、錆びないなどの特徴を生かして、構造材料や各種機能材料として社会に浸透してきました。

飲料用途をはじめ、化粧品などのパッケージ、フィルムや磁気テープ、繊維用途などあらゆる産業分野で利用されています。
近年では全世界にパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスの飛沫防止対策パーティションなどにもその特徴を生かして活用されています。

用途例
  • ペットボトル
    ペットボトル
  • 家電部品
    家電部品
  • 食品包装
    食品包装
  • パッケージ・文具関係
    パッケージ・文具関係
  • パーティション
    パーティション

A-PETとG-PET、どう違う?

A-PETとG-PET

透明性・靭性・剛性・耐熱性などに優れ、用途が拡大しているPETは、汎用樹脂とは違い、結晶化速度の関係で、成形材料としての普及に時間がかかりました。
そのため加工方法の研究により、A-PETや、それを改良したG-PETなどが生まれました。

A-PET(Amorphous PET:非晶性ポリエチレンテレフタレート)

A-PETは結晶化していない非晶状態のPETのこと。衝撃強度が高く、曲げ加工などが容易で、しなりやすく、柔軟であることが特徴です。しかし、A-PETは長期間の使用や熱履歴で結晶状態が変わることにより、柔軟性、耐衝撃性、強度などが低下していくという課題もありました。

G-PET(Glycol-modified PET : グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)

通常のPET樹脂の肉厚製品の場合は、冷却速度がゆるやかになるために結晶ができ、不透明になってしまい外観が悪くなります。しかし、G-PETは原料によって結晶化を防ぎ、透明な肉厚成型品によく使われ、透明性の高い、ガラスライクな製品が得られます。A-PETと比較して、耐衝撃性や成形性に優れています。

日々進化する触媒技術

日々進化する触媒技術

PET樹脂が利用される理由としては、高い透明性や品質安定性が大きなポイントですが、重縮合プロセスで高い純度が得られるよう大切な役割を果たしているのが重合触媒です。いま、さまざまな研究・改良がなされています。代表的なアンチモン系とチタン系の2種類をご紹介します。

アンチモン系触媒

A-三酸化アンチモンに代表されるアンチモン系触媒は、十分な触媒活性があることや安価であることなどから、世界の多くのポリエステルがアンチモン触媒で生産されています。しかし、加工時の生産性や透明性など様々な課題があるとされています。

チタン系触媒

チタン系触媒は、既存触媒の中では高い触媒活性があり、少量の使用でよい場合が多く、焼却時の金属残渣も少なく、環境に優しい触媒です。これまではポリマーの熱安定性や、黄色く着色しやすいなどの課題を抱えていましたが、活性調整などによって透明性の向上を実現しています。

まとめ
ポリエチレンテレフタレート(PET)を原材料とするPETボトル。配送しやすい統一的な形状で、持ち運びがラク。大量に効率的に流通することが可能になり、輸送時の燃料削減とともに流通革命に大きな役割を果たしました。しかし、プラスチックとしてさまざまな課題を抱えていることも事実で、長所と短所をみきわめて正しく使うことがますます大切な時代になりました。
この記事を書いた人
森田英資PET樹脂と化学品をとおして地球環境とお客様に貢献する、株式会社ツカサペトコ代表取締役
TOP