PET樹脂コラム
PETボトル
以前、ガラスびんや缶に入れて売られていた清涼飲料の多くの容器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を原料としてつくられるPETボトルにとって代わりました。当初、PETは高強度プラスチックで合成繊維として使用されていましたが、繊維から固体への成型が可能となり、PETボトル以外にも幅広い用途で使われるようになりました。PETボトルは、同容量のガラスびんの7分の1~10分の1の重さ。持ち運びが容易で、輸送時の燃料削減にもなり、落としても割れない容器として、いまやなくてはならない存在です。
プリフォームからPETボトルができるまで
プリフォームはPETボトルの原形。PETボトルの製造過程で、ボトルに膨らませる前の段階の、試験管のような形をしたものです。中身の飲み物の種類で変わるPETボトルの多様なデザインに合わせるため、プリフォームもさまざまな種類があります。また、PETボトルに比べて体積が小さいため、プリフォームの状態でPETボトルの製造工場まで輸送されることが多く、コストの低減にも役立っています。
PETボトルの製造工程
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- 1.プリフォーム製造工程
- 樹脂を溶かし、圧力をかけて金型に流し込み、冷却後取り出してプリフォームが完成します。
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- 2.PETボトル製造工程
- プリフォームをおよそ100℃まで加熱します。
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- 3.
- プリフォームをボトル用金型に入れます。
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- 4.
- 棒でプリフォームをタテにのばします。
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- 5.
- 高圧空気を入れて膨らませます。
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- 6.
- 冷却後ボトル用金型を開いて、
できあがったPETボトルを取り出します。
ますます増えるPETボトルの種類
PETボトルはお茶やジュース、水などの飲料、しょうゆやお酒類などさまざまなものに使用され、内容物によって大きく炭酸系・非炭酸系に分かれ、さらに耐熱用、耐圧用、無菌充填用、耐熱圧用といった種類があります。リサイクルがしやすいこと、食品衛生法に基づく規格に適合していて衛生的であること、透明で強くて軽く、加工しやすいなどの特徴から、デザインやサイズが豊富にそろっています。
たくさんの用途と種類
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- A.炭酸用PETボトル(内容物が炭酸飲料)
- 炭酸飲料から発生するガス圧によるボトルの変形を防止しています。
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- B.耐熱用PETボトル(高温充填に使用)
- 高温充填によるボトルネック(本体の口の部分)の変形を防止しています。
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- C.ホット対応PETボトル(ホットドリンクに使用)
- ホット飲料の味や香りを損なわないよう工夫しています。
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- D.一般的なボトル
- 通常A、B、C、を除く非炭酸飲料、常温充填の用途に適しています。
参考・出典:「PETボトルリサイクル推進協議会」
PETボトルの飲み口、白色と透明は?
飲み口の白と透明の違いは、充填方法で変わります。材料はどちらも同じものです。
- 【白いもの】
- 充填時や殺菌時に高温になっている中味を入れることで口部が変形しないよう、飲み口部分に耐熱性を持たせることが必要です。そのため、熱処理して結晶化するために白くなります。
- 【透明なもの】
- 「栄養価の高い食品」などを高温で殺菌してすぐ冷却し、常温にして無菌環境のもとで容器に充填するため、透明なままになっています。
- まとめ
- 冬季など、コンビニでは加温機に陳列されたPETボトル飲料を見る機会が多くなりました。55~60℃に設定された飲料専用の加温機で販売するためには、PETボトルの耐熱性やガスバリア性や低溶出などが要求されます。こうした耐熱PETボトルは飲料の需要が落ちる冬場の売上げを補う役割を果たしているとも言えます。
- この記事を書いた人
- 森田英資PET樹脂と化学品をとおして地球環境とお客様に貢献する、株式会社ツカサペトコ代表取締役